炎症性腸疾患
当院では、下記の炎症性腸疾患に対する診療を積極的に行っています。
炎症性腸疾患とは...
炎症性腸疾患は細菌や薬剤などはっきりした原因で起こる特異的炎症性腸疾患と、原因不明の非特異的炎症性腸疾患に分けられます。
しかし一般的に炎症性腸疾患を言われるのは後者であり、非特異的炎症性腸疾患は長期に下痢、血便が続く原因不明の難病です。通常の食中毒などと異なり、数日で改善することはなく長期にわたり(多くは一生涯)、よくなったり悪くなったりしながら症状が続きます。具体的には「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」があります。適切な治療をおこなえば通常の生活をおこなえますが残念ながら完全に治ることはありません。命を落とすことはありませんが、生活が大きく病気のために犠牲になるのがこの病気の特徴です。(特に若い患者さんで深刻です)
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とは肛門直腸から連続的に口方向に向かって進む、粘膜表層の連続性の炎症が起きる原因不明の疾患です。症状の中で下痢が最も多くみられ、それも粘液や血液の混じった下痢が長期に続きます。通常の食中毒の下痢に比べると(1)経過が長い(2)発熱などの細菌感染の兆候が少ない・・・ことである程度区別できます。長期におよぶため適切な治療がおこなわれず放置されて脱水、栄養不良となる人もいます。医療の発展により最近は少なくなりましたが、以前は命を落とす方もいました。
軽症の潰瘍性大腸炎 (直腸炎型)は直腸からの出血が唯一の症状となります。直腸の出血と痔の出血の区別は難しく、しばしば痔と誤診されます。
クローン病
潰瘍性大腸炎は大腸だけの病気なのですが、クローン病は大腸と小腸の療法に病気があるのが特徴です。クローン病は、口から肛門までどの臓器にも起こりうる、全層性(粘膜表面から消化管筋肉を撃ちぬいて腹膜や隣の別臓器まで侵される)の炎症性疾患です。大腸型クローン病の症状は基本的には潰瘍性大腸炎と共通です。小腸型クローン病はしばしば診断が困難なことがあります。「食事をするとお腹が痛くなり、食事をしなくなり、やがて栄養失調でやせてくる」という症状が特徴で「神経性食欲不症」などと誤診されることがよくあります。またクローン病の特徴として独特な痔(特に痔ろう)を合併することがあります。痔ろうで肛門科にいらした方が実はクローン病だったということもよくあります。クローン病に合併した痔ろうは治療法が特殊です。そのため痔ろうの患者さんが手術を受けるときはクローン病の可能性も調べておいた方がよいです。